一般社団法人 日本地球化学会 会長 南 雅代

鍵裕之前会長からバトンを受け、会長を仰せつかりました南です。もとより微力ではありますが、本学会のさらなる発展に向けて精一杯努力いたしますので、皆様のご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

日本地球化学会は1953年に約200名で発足した地球化学研究会に端を発しています。1963年に日本地球化学会と名称を改め、2017年11月には法人化し、一般社団法人 日本地球化学会となりました。本学会は、2003年にくらしき作陽大学で、また2016年にはパシフィコ横浜でGoldschmidt Conferenceを主催し、Geochemical Society、European Association of GeochemistryとMOU(Memorandum of Understanding:国際交流協定)を結ぶなど、国際的にも認知された存在です。中国鉱物岩石地球化学会、韓国地質学会、中華民国地質学会ともMOUを結び、アジア各国との連携にも力を入れております。このように、先人達のご尽力により、これまで本学会はきわめて順調に発展してきました。しかし、現在、少子化に伴う会員数の減少、学会誌の維持・活性化、コロナ禍での年会の在り方など、さまざまな問題を抱え、まさに岐路に立っていると言えます。

このような状況の中、学会が果たすべき役割は何か、と言えば、年齢・性別に関わらず会員全員が誇りと意欲を持って研究・教育活動を活性化できる場、つまり、多様な会員の研究成果発表・情報交換を促進し、研究成果を国内・国外に広く発信する場の提供ではないかと思っています。この意味で、学会活動の要は、年会開催と学会誌の出版であると言えます。

まず、年会に対しては、今般の新型コロナウィルス感染拡大の影響で対面開催ができなくなり、本学会も2020年、2021年と2年連続で、オンライン開催を余儀なくされました。2020年の初めてのオンライン開催時には、発表の場、交流の場としてのオンライン年会のより良いあり方を会員アンケートから探り、発表資料によるウェブ上の討論方式など、新たな形式を模索しました。幸いなことに、大きな混乱もなく、研究成果発表の促進、活発な情報交換ができました。両年とも、例年と同程度の参加者数があり、年会の役割は十分に果たせたと思います。対面でないと得られないものはありますが、一方で、オンラインであれば、子育て世代や、海外など遠方の会員も気軽に参加できる利点もあります。今後も当分の間、ウィズコロナの状態が続くと考えられ、オンラインと対面を効果的に用いる年会開催形式を探っていく必要があります。そして、当然のことながら、年会の活性化のためには、魅力あるセッション構築が不可欠です。例えば、分野横断的なセッションなど、会員の皆様から魅力あるセッション提案をしていただき、年会を活性化していきたいと思います。また、ショートコースや一般公開講演会も積極的に行い、学生、会員外、一般の方にも地球化学の魅力を伝える場を設け、優秀な若者を惹きつけるとともに、地球化学の裾野を広げていきたいと思っています。

学会誌に対しては、本学会は、1967年から欧文誌Geochemical Journalと和文誌 地球化学を発刊しています。近年の学術雑誌の急速な電子化を受け、Geochemical Journal は2013年から徐々にオープンアクセス化を進めてきましたが、この度、2022年1月から、J-STAGEを利用して、学会が出版する完全オープンアクセスジャーナルに生まれ変わります。これにより、世界中のすべての方が出版と同時にGeochemical Journalの論文を閲覧、ダウンロードすることができるようになり、大きな飛躍が期待できます。しかし、今後、より一層国際発信力・競争力が強化されたジャーナルに発展していけるかどうかは、この2年間にいかに新Geochemical Journalを軌道に乗せることができるかにかかっていると言っても過言ではありません。是非とも、会員の皆さまのご協力をお願いいたします。

上で述べたウィズコロナでの年会開催、新Geochemical Journalの始動の他にも、学会ウェブサイトの整備、社会への情報発信・還元、次のGoldschmidt Conferenceの日本招致をどうするかなど、現在、課題が山積みであることは確かですが、明るい兆しもたくさんあります。いくつか挙げると、理事の大半が40代から50代前半ということからも伺えるように、若手で優秀な研究者が次々に輩出されていること、質の高い研究を推進している元気な学生がたくさんいること、ダイバーシティに関する意識が高いこと、そして何より、学会の規模が大きすぎず、お互いに顔の見える存在で、学会を心の拠り所としている会員の方が多いことなど、きりがありません。最近、若手育成などに役立ててください、と会員の方から寄付をいただくことが増えました。学会を大切に思ってくださる会員の方がいらっしゃることをとても嬉しく、非常に有り難く思うと同時に、その期待に応えないといけないという責任を痛感しています。

新しく選ばれた理事の方々、会員の皆様と協力して、性別にかかわらず、ライフステージに関わらず、年齢にかかわらず、会員すべてが参加したい、関わりたいと思える魅力ある学会を目指したいと思います。会員の皆様には、より一層、積極的に学会にご参加いただき、忌憚のないご意見をいただければ幸いです。これから2年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。