日本地球化学会会長 圦本尚義

 2016年1月より川幡穂高前会長から役職を引き継ぎました.本会の目的である「わが国における地球化学の進歩発展を図る」ことに微力ながら努力していきます.皆様のご支援とご協力をお願いできれば幸甚です.

 今後のわが国の地球化学の進歩と発展のためには,国際的な協力と国際的なリーダーシップが必要不可欠な要素です.これまでの会長と諸先輩会員の努力のもと,Geochemical Society, European Association of Geochemistry, 中国鉱物岩石地球化学会および韓国地質学会との間で研究交流のMOU(覚書)を結んでいます.これらのMOUに基づき国際的な学術交流をさらに深めていきたいと思います.その先駆けとして,横浜で開催されるGoldschmidt Conference 2016は会員の皆様と一緒に運営を行い成功に導かねばなりません.ご協力をよろしくお願いします.幸いGoldschmidt2016では多数の会員がテーマチェアとセッションコンビーナーに立候補してくださり,本学会が学術と実務の両面から会議を主導できています.Goldschmidt2016後も,この経験をGoldschmidt2017以降に引き継ぎ,さらに発展させていくことが肝要です.また,2020年の前半には,Goldschmidt Conferenceを日本あるいはアジアに誘致する牽引力を持たねばなりません.そのためには学会の法人化を視野に入れる必要があります.

 本学会が発行する国際学術誌Geochemical Journal (GJ)は,科学研究費の援助を受け,少しづつですが国際的な評価が向上しています.会員の皆様はオープンアクセス特別補助等の特典がありますので是非ご利用ください(http://www.geochem.jp/information/info/2014/140401_1.html).Geochemical Journalの掲載論文は地球化学全般であり,ホームページには,募集論文として,宇宙・鉱物・岩石・火山・水熱・同位体・年代・大気・陸水・海洋・有機・環境の地球化学分野がこの順番に掲載されています.一方,投稿論文数の分布は概ねこの順番の逆です.ちなみにGoldschmidt Conferenceのセッション提案数の分布もGJ投稿論文数分布と同様です.この分布の一致は,世界の地球化学分野における現在の研究者数分布を反映していると考えられます.研究者分布は学問の面白さと相関がありますが,研究費の流れにも大きく左右されます.

 何故こんなゴシップ的な話題を取り上げるかというと,今期に目処をつけたい課題として,学術会議が進める「学術の大型研究計画(http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/ogata/)」に本学会として如何に取り組むべきかということがあります.大型研究計画とは総額百億円以上の経費が必要な研究です.私個人的には総額数十億円以下の研究テーマしか思い浮かばないので大型研究計画とは無縁なのですが,本学会は大型研究計画が必要かもしれません.したがって,会長として本気でこの課題に取り組ませていただきます.そこで,世界的に多額の研究費が流入している上記の研究者数が多い分野のご意見を積極的に取り入れさせていただきたいと考えています.また,逆に,大型研究計画は学会にとって負の要因であるかもしれませんので,そういうご意見があれば耳を傾け,バランスをとります.

 日本地球化学会は,地球惑星科学の実証研究を支える学会として世界の地球化学を牽引していく責務があり,その責務を全うすることがわが国における地球化学の進歩発展を支えます.そのため,五つあったタスクフォースを今期は法人化と大型研究計画についての二つに集約し,学会のさらなる発展に取り組んでいきます.会員皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます.