▼ 年会ショートコース

 地球化学は、試料を構成する元素、同位体、化学種の存在度、分布、移動、変化を空間的・時間的に調べ、それらを支配する法則や原理を見いだすことにより、地球や惑星を構成する物質の構造や循環を調べる学問である。分析・データ解析技術の進歩により、試料から得られる地球化学的知見の質と量は飛躍的に向上し、今では、鉱物学、岩石学、地質学、地球物理学など、他の地球科学分野の発展を支える重要な学問となっている。しかしその一方で、地球化学の応用性・実用性のみが注目され、地球化学の本質である現象の素過程を調べる研究が少なくなるとともに、時間をかけてじっくり調べ、問題点を徹底的に掘り下げて理解する機会も減少するという問題も顕在化している。こうした問題に対し、日本地球化学会では地球化学講座の発行を通じて地球化学の啓蒙を進めてきた。そして日本地球化学会では、次なる啓蒙活動として、大学生・大学院生を対象とした「ショートコース」を年会に合わせ開催することとした。本ショートコースでは、地球化学を研究する上で必須となる基礎知識の包括的修得と、最先端研究に触れることによる視点の拡大、という次の二つの目標を掲げ、将来の地球化学を担う若手研究者の育成を目指す。第9 回目を迎えた今年は、地球化学と環境科学の接点、地球内部の地球化学といった学術研究の最前線を紹介する。また、査読者がどのような視点で論文の内容を評価するかを知ることで、若手研究者の学術執筆のノウハウを向上する講義も盛り込んだ。学生、若手研究者だけではなく、研究歴の長い研究者に対しても意義のあるショートコースとなった。

講演プログラム(予定)

【講演1】次世代ICP 質量分析法を用いた環境放射能研究
大野 剛(学習院大学)
【講演2】同位体分別を利用した地球環境科学の基礎と応用
角皆 潤(名古屋大学)
【講演3】近未来予測向上のための過去の環境解析
横山祐典(東京大学)
【講演4】海洋底下のマントル
森下知晃(金沢大学)
【講演5】論文査読の仕方 ~ 査読者が注目する論文のポイント
高橋嘉夫(広島大学)

(1) 開催日時・場所
日時:2014年9月15日(月)午前9時30分~夜6時頃まで
会場:日本地球化学会2014年年会会場(富山大学)
(2) 参加費
3,000円(講師謝金費、資料代、弁当代等を含む)。当日受付で徴収いたします。
但し、日本地球化学会学生会員は学会からの補助により2,000円引とします。
(3) 申込み方法
7月頃からホームページ上で参加申し込みを受け付け開始します。以下のサイトから申し込みファイルをダウンロードし、必要事項を記入の上、お申し込み下さい。
http://www.kueps.kyoto-u.ac.jp/~web-geochem/Home.html
(4) 定員・申込締切
50名(先着順)。9月8日(月)を参加申込締切日としますが、定員になり次第、参加申し込みを締め切らせて頂きます。主として日本地球化学会の学生会員を対象としますが、非会員の方の参加も歓迎します。
(5) お問い合わせ
不明な点などございましたら平田岳史までメールでお問い合わせください。
平田岳史・京都大学大学院理学研究科:hrt1@kueps.kyoto-u.ac.jp(@を半角にしてください)