▼ 市民講演会

2017年度日本地球化学会市民講演会

ご案内をこちら(市民講演会アウトリーチイベント)からダウンロードできます。

テーマ:宇宙・地球・生命-地球化学が読み解く水の役割-

日本地球化学会主催・東工大ELSI共催

開催日時:年会開催翌日9月16日(土)13:00-16:00
場所:東工大大岡山キャンパスELSI-1 Hall
開催内容:招待講演3つ+講演者によるパネルディスカッション**

講演者(敬称略)および講演タイトル
薮田ひかる/多様な惑星たちを作った,太陽系の水
平林由希子/東大 環境:気候変動に伴う水循環の変化~将来の水関連災害はどう変化する?~
古川善博/東北大 生命:地球生命は海で誕生したのか?

*「水」と「地球化学」をキーワードとして「宇宙・海洋・生命」に迫る,というコンセプトです。
** パネルディスカッションでは,3人の講演者をパネリストに迎え,「地球化学が読み解く水の役割」という表題について,コーディネーターの臼井寛裕(東工大)と共に宇宙・地球・生命の起源と進化における水の役割について議論します。

アウトリーチイベント

タイトル:惑星を小麦で作ってみよう!
開催日時:9月16日(土)10:00-12:00
目的:実際の体験に基づき,惑星の多様性(内部構造・表層環境)を学ぶ
内容:参加者は,地球・水星・火星の中から一つを選んで,核・マントル・地殻の三層を小麦粉粘土で作ります。それぞれの惑星の内部構造の共通点や違いを体験しながら楽しく学ぶことができるイベントです。東京工業大学 地球生命研究所の研究員が分かりやすく説明します。

―講演要旨集―

講演者1:薮田ひかる(広島大学)
講演題目:多様な惑星たちを作った,太陽系の水
〈概要〉
約46億年前、まだ太陽系ができる前の宇宙は、ガスとちりだけの世界でした。そこから、大きさや物質の組み合わせの異なる、色々な惑星たちは、どのようにしてできたのでしょうか。その1つの鍵を握るのは、太陽からの距離によって、水が氷として存在する領域と、水が蒸発して少なくなる領域を分ける、“スノーライン”と呼ばれる境界線だと言われています。実際に、地球や他の惑星を作る材料となった、スノーライン近くにいる小惑星、外側にいる彗星の中では、水(氷)、岩石、有機化合物が、それぞれ異なる化学反応を起こし、さまざまな物質が作られていたことが、最先端の地球外物質科学研究から明らかになってきました。私たちの遠いルーツを辿る宇宙の旅に、ご案内いたします。

講演者2:平林由希子(東京大学)
講演題目:気候変動に伴う水循環の変化~将来の水関連災害はどう変化する?~
〈概要〉
地球温暖化が進行すると、雨や雪の降り方が変わると言われています。アジアやアフリカなどの多くの地域において、地球温暖化による大雨や洪水の増加が心配されている一方で、地中海沿岸やアメリカの中西部など、温暖化による渇水の増加が心配されている地域もあります。氷河の融解による、海面上昇や乾燥地の水不足も危惧されています。最新の気候予測実験と人間の水の使い方の将来予測から明らかになってきた、水に関係する災害の将来展望について紹介します。

講演者3:古川善博(東北大学)
講演題目:地球生命は海で誕生したのか?
〈概要〉
多くの生命体の50%以上は水で構成されており、「生命は水なしには生きられない」ということは広く信じられています。このことと生命の起源が結びついて、地球最初の生命誕生までの過程が終始一貫して海の中で起こったという描像を描いている方々も多いでしょう。しかし、生命誕生までに起こり得る反応を追っていくと、実は広大な海が大きな障壁となっている過程があることがわかってきています。地球生命誕生のシナリオを解明するために地球化学分野で行われている、生命材料の形成に関する研究と、当時の地球の表層環境に関する研究を紹介します。