▼ 加藤泰浩会員の研究成果がEarth & Planetary Science Lettersにて発表されています

Hematite formation by oxygenated groundwater more than 2.76 billion years ago
Yasuhiro Kato, Katsuhiko Suzuki, Kentaro Nakamura, Arthur H. Hickman, Munetomo Nedachi, Minoru Kusakabe, David C. Bevacqua and Hiroshi Ohmoto
Earth and Planetary Science Letters
Volume 278, Issues 1-2, 15 February 2009, Pages 40-49
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加藤会員による内容紹介:
 西オーストラリア州ピルバラのマーブルバー地域における陸上掘削により,地表から210〜235mの掘削コアに赤鉄鉱化した玄武岩が発見された.この玄武岩は,34.6億年前に海底に噴出した海洋底玄武岩が29〜27.7億年前の地殻変動により地表近くまで一旦露出した後に,27.7億年前に陸上の洪水玄武岩により3km以上覆われて地下深くに埋没され,さらに顕生代以降に再び現在と同じように地表近くまで露出したものである.この玄武岩の赤鉄鉱化は,チャートとの接触部付近のせん断帯に限られており,酸化的な地下水が浸透することによって生成したと考えられる.さらにこの赤鉄鉱化した玄武岩を切る黄鉄鉱の細脈が発見された.この黄鉄鉱の産状は,黄鉄鉱の生成が玄武岩の赤鉄鉱化よりも後である(若い)ことを明らかに示しているので,黄鉄鉱の生成年代をRe-Os年代測定法により決定することを試みた.その結果,27.63±0.18億年の極めて良好なアイソクロン年代が得られ,赤鉄鉱が29〜27.7億年前に生成したことが明らかになった.さらに赤鉄鉱化した玄武岩と赤鉄鉱化していない玄武岩の全岩化学組成を比較検討し,地下水と平衡に存在したと考えられる大気中の酸素濃度を計算した結果,少なくとも現在の1.5%程度であることが示唆された.この研究成果は,地球大気が24.5〜23.2億年前にはじめて酸化的になったとする従来の定説より3億年以上も前に,酸化的な表層環境が少なくとも局所的には存在したことを明らかにしたものである.