▼ 丸山誠史会員の研究成果がGeochimica et Cosmochimica Actaにて発表されています
Elemental and isotopic abundances of lithium in chondrule constituents in the Allende meteorite
Seiji Maruyama, Masaki Watanabe, Tak Kunihiro and Eizo Nakamura
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- 丸山会員による内容紹介:
- アエンデ隕石に含まれるコンドルールを構成する鉱物(オリビン、輝石、メソスタシス成分)のリチウム含有量と、コンドルールを構成するオリビンのLi 同位体比を、二次イオン質量分析法を用いて測定した。コンドルール中のオリビンのLi 濃度は1 ppm未満、長石質メソスタシス成分は0.1-0.6 ppmと枯渇した組成を示した。これらとは対照的に、Ca-poor な輝石は2.0 ppm程度、Ca-rich な輝石に似た組成のメソスタシス成分は1-8 ppm、そしてNa に富むメソスタシス成分は0.4-3.5 ppmと高い組成を示した。また、コンドルールの間を埋めているマトリックス成分のリチウム組成は、平均2.0 ppmだった。コンドルール中のオリビンのリチウム同位体組成および含有量には、明確なゾーニングは殆ど見出されず、また同じオリビン粒子内部でも非常に不均一だった。測定したコンドルール全体では、δ 7Li は-32 ‰から+21 ‰まで非常に幅広い値を示した。オリビン内におけるリチウムの拡散距離は、アエンデ隕石の母天体中で熱変成作用(ピーク温度400 ℃程度)が100 万年続いた場合、最大でも数μ m 程度しか拡散しないと見積もられた。したがってリチウムの組成的・同位体的不均一性は、コンドルール前駆物質に含まれていたリチウムの不均一性を反映しているものと思われる。
アエンデ隕石は母天体内部で水質変質作用と熱変成作用を経験しているが、これらの過程で鉱物中のリチウムが移動し、元々の含有量・同位体組成の分布が変化している可能性がある。分配係数を考慮すると、コンドルール内で最後に固結したメソスタシスは最もリチウムに富む組成になると推定されるが、実際にはNa に富む成分(二次変質作用で生成)を除く2成分がオリビンと同程度、リチウムに枯渇していた。この原因としては、二次変質作用の過程で流体によってリチウムがメソスタシス成分から取り去られる"leaching "が考えられる。多量(数ppmレベル)のリチウムがマトリックス成分中に保持されてはいるが、CVコンドライト隕石母天体中のアエンデ隕石が発生した領域からは、多量のアルカリ元素が流体によって抜き去られたと考えられる。
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