▼ 北川浩之・横山祐典会員らの成果が Science にて発表されました

 下記、成果についての紹介文です。
 なお、著者のうち地球化学会会員は、北川浩之(名古屋大学)と横山祐典(東京大学 大気海洋研究所)の2名です。

著者: Christopher Bronk Ramsey1, Richard A. Srtaff1, Charlotte L. Bryant2, Fiona Brock1, Hiroyuki Kitagawa3, Johannes van der Plicht4,5, Gordon Schlolaut6, Michael H. Marshall7, Achim Brauer6, Henry F. Lamb7, Rebecca L. Payne8, Pavel E. Tarasov9, Tsuyoshi Haraguchi10, Katsuya Gotanda11, Hitoshi Yonenobu12, Yusuke Yokoyama13, Ryuji Tada13, and Takeshi Nakagawa8
(1.University of Oxford, 2.Natural Environment Research Council Radiocarbon Facility, 3.Nagoya University, 4.University of Groningen, Netherland, 5.University of Leiden, Netherland, 6.GeoForschungsZentrum, Germany, 7.Aberystwyth University, UK, 8.University of Newcastle, UK, 9.Free University Berlin, Germany, 10.Osaka City University, Japan, 11.Chiba University of Commerce, Japan, 12.Naruto University of Education, Japan, 13.University of Tokyo, Japan)
タイトル: A complete terrestrial radiocarbon record for 11.2 to 52.8 kyr B.P.
雑誌名: Science (vol 338, 370-374)
掲載日: 2012年10月19日

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内容紹介:

【研究成果の概要】
私たちは福井県水月湖の堆積物を使って、過去5万年間の大気放射性炭素濃度を復元を行い、成果を10月19日付けScience誌に発表、Perspectiveにも取り上げられました。

放射性炭素年代測定法は、わずか数ミリグラムかそれ以下の試料量で分析ができるため、広く大気海洋科学および考古学で用いられています。しかし地球の磁場や海洋循環の変化にともない、過去の大気中の濃度が一定ではなく、“正しい”年代を示さず、年代の誤差が大きくなってしまうことが知られていました。そこで研究チームは、年縞という木の年輪にあたる縞が存在する、福井県三方五湖の水月湖の堆積物を使って過去の大気中の放射性炭素濃度の記録を復元しました。この結果、今後、地球科学試料の放射性炭素を分析し、その濃度が過去のどの時期に相当するかをより正確に決められるようになりました。今回のデータは放射性炭素の国際補正標準曲線として採用される予定になっています。また、今年度東京大学大気海洋研究所にも導入される加速器質量分析装置を使うことで、より高時間分解能での復元を行い、年代補正の精度向上を目指します。