■ 関根康人会員(東京大学)、渋谷岳造会員、鈴木勝彦会員(共に海洋研究開発機構)らの成果が Nature にて発表されました。

「土星の氷衛星エンセラダスの地下海に海底熱水環境が現存する」

 関根康人会員(東京大学)、渋谷岳造会員、鈴木勝彦会員(共に海洋研究開発機構)らの日米独の国際共同研究チームは、土星の第2衛星であるエンセラダス(日本語でエンケラドス、エンケラドゥスとも称される)の地下海に熱水環境が、現在も存在していることを明らかにした。

 NASAのカッシーニ探査機による観測によって、エンセラダスの内部には岩石コアと触れ合っている広大な液体の地下海が南極付近に存在し、その海水はプリュームと呼ばれる間欠泉として宇宙空間に噴出していることが明らかになっている。プリューム物質のその場分析によって、海水にはナトリウム塩や二酸化炭素、アンモニア、高分子有機物が含まれていることも知られていた。しかし、内部における岩石と海水の反応や温度、pH条件など、地球化学な環境の解明には至っていなかった。

 今回、米独チームはカッシーニ探査機に搭載されているダスト分析器のデータを詳細に解析し、数ナノメールサイズのシリカ(二酸化ケイ素)がエンセラダスの地下海に存在し、これがプリュームと共に噴出していることを明らかにした。日本チームは、エンセラダス内部の環境を模擬した鉱物熱水反応実験を行い、内部でナノシリカが形成するための条件を調べた。その結果、エンセラダスの海底には温度が90℃以上に達するアルカリ性の熱水環境が存在すること、そして現在も熱水活動が起きていて地下海は活発に対流していることを示した。現在の地球においても、海底に存在する熱水噴出孔では、原始的な微生物がそこでの熱エネルギーを使って生命活動を行っており、初期地球における生命誕生の場の候補にもなっている。このような熱水環境が現存することが、探査と室内実験の結果に基づく具体的な証拠によって実証されたのは地球以外では初めてであり、地球外生命の可能性を考える上でも重要な成果といえる。

掲載論文
雑誌名: Nature
論文タイトル: Ongoing hydrothermal activities with Enceladus
著者: H.-W. Hsu*, F. Postberg*, Y. Sekine*, T. Shibuya, S. Kempf, M. Horanyi, A. Juhasz, N. Altobelli, K. Suzuki, Y. Masaki, T. Kuwatani, S. Tachibana, S. Sirono, G. Moragas-Klostermeyer, R. Srama(*の著者は、本研究に対して同等の寄与を行った)

リンク
Nature誌 論文本編:
 http://www.nature.com/nature/journal/v519/n7542/full/nature14262.html
Nature誌 紹介記事:
 http://www.nature.com/nature/journal/v519/n7542/full/519162a.html