■秋田大学大学院工学資源学研究科地球資源学専攻 応用地球科学講座金属鉱床学研究室
森康治
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今回は秋田大学大学院地球資源学研究科地球資源学専攻応用地球科学講座金属鉱床学研究室の紹介をさせて頂きます。金属鉱床学研究室には,水田敏夫教授,細野高啓助教,佐藤比奈子技術職員の3人の教職員と,博士後期課程大学院生3名,前期課程大学院生4名,学部4年生9名,の計19人(2008年4月現在)が所属しています。さらに,本研究室の協力研究グループとして工学資源学部付属環境資源学研究センターの石山大三教授,川原谷治技術職員がいます。
今年度(2008年度)学生が行っている主な研究内容は,タイ国北部の浅熱水性金鉱床の金鉱化作用と鉱床成因モデル,山形県ベントナイト(モンモリロナイトを主体とする粘土)鉱床の形成過程について,秋田県東部の休廃止鉱山における鉱排水の地球化学的特徴とその影響について,埼玉県秩父鉱山における花崗岩類とスカルン鉱化作用の関連性について,新潟県中部天然ガス田における火山岩の貯留岩性状とその孔隙形成プロセスについて,秋田県北部黒鉱鉱床の鉱化作用プロセスについてなどを行っております。中でもタイの浅熱水性金鉱床についての研究では,水田教授とともに筆者と4年生1人の3人で10日間の現地調査を行っております。
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この研究室の一番の特徴は,積極的に受け入れている留学生にあります。本研究室では,マレーシア1人,ガーナ1人,ミャンマー2人,パプアニューギニア1人と,計5人の留学生が院生として在籍しています。留学生の方たちも主に母国に関連した鉱化作用について研究を進めております。マレーシアからの留学生Adong Bin Laming さん(アドン・ビンラミング:博士後期課程3年)は,東マレーシアSabah 州Semporna半島,Mt. Pock における浅熱水性Au 鉱化作用について,ガーナからの留学生Adomako-AnsahKofi さん(アドマコ―アンサ・コフィ:博士後期課程1年)は,鹿児島県菱刈浅熱水性Au-Ag 鉱床の地質学的・地球化学的特徴について,ミャンマーからの留学生Htay Thura Kyaw さん(ティ・トゥラ・ジョウ:博士前期課程2年)は,秋田県大館地域の黒鉱鉱床及び関連する火成活動の地球化学的特徴の研究を,パプアニューギニアからの留学生Paul Moia Kia さん(ポール・キア・モイヤ:博士前期課程2年)は,パプアニューギニアのCreator Mountain における地質と鉱化作用についてそれぞれ研究しております。
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金属鉱床学研究室では,鉱物資源の形成機構の解明を目的として,1)黒鉱鉱床や浅熱水性Au-Ag 鉱床,スカルン鉱床の鉱化作用といったオーソドックスな研究,2)石油ガス田における火山岩類の変質作用の地球化学的特徴とその貯留岩性状の研究,3)休廃止鉱山の鉱山排水の地球化学的な特徴とその処理についての研究など,その研究分野は多岐にわたっております。
本研究室は第一に,野外における地層や岩相分布,岩石,鉱石の産状を把握することに重点を置いた調査を行います。そこで採取したサンプルは,薄片観察やX 線回折装置(XRD),X 線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて岩石・鉱物の組織や鉱物組み合わせの検討,鉱物の同定をしております。そして,蛍光エックス線分析装置(XRF)やレーザーアブレーション付き四重極型ICP 質量分析計(LA-ICP-MS)を用いて全岩化学組成や微量元素組成データをもとに,岩石の初生的な特徴と変質作用の特徴を明らかにします。さらに石英や斜長石といった白色~透明鉱物中の流体包有物を加熱・冷却することで鉱物が形成した時の温度・圧力条件を推定し,鉱物資源形成時の物質循環について考察し,資源探査における新しい概念やその手法についての検討を行っております。これらの実験は,基本的には学生自身が先輩から習い,後輩へと伝えていくことで技術の継承を行っております
が,LA- ICP-MS の分析については,佐藤比奈子技術職員を中心に行っています。
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秋田は比較的山が多く,春には山菜が,秋にはキノコが採集できます。野外調査に出掛けた際に,採集してきた山菜で楽しいひと時を過ごすことがしばしばあります。研究は遠く海外をフィールドにする場合もありますし,地域と密着した研究についても金属鉱床学研究室は力を注いでおります。
以上で金属鉱床学研究室の説明を終わらせていただきます。もし興味をもたれた方がいましたら,秋田大学工学資源学部地球資源学科金属鉱床学研究室のホームページ(URL:http://dips11.akita-u.ac.jp/OYOchikyu/mineral/)をご覧下さい。
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